脱石油を目指す「ペトロナス王国」、囚人ビジネスで外貨獲得へ――“囚人の街”と薬物リハビリ施設がオープン
化石燃料依存からの脱却を掲げるペトロナス王国が、驚くべき新産業に乗り出した。国外の囚人を受け入れて運営する「囚人の街」と、薬物中毒者のためのリハビリ施設を新設し、先進国の「厄介者」を受け入れることで外貨獲得を目指す。この大胆な政策は、国内経済の多角化と国際社会での新たな地位確立を狙ったものだが、倫理的な懸念も広がっている。
囚人の街「サンドウォール」:脱走不可能な砂漠の監獄
ペトロナス王国南部の広大な砂漠地帯に建設された「サンドウォール」は、高さ10メートルの壁で囲まれた巨大な収監施設だ。収容人数は最大5万人で、現在は欧米やアジアからの囚人約1万人が移送され、独自の「囚人の街」で生活している。施設内には簡易住宅、工場、農場が整備され、囚人たちは労働を通じて自給自足の生活を送る。
「サンドウォール」の最大の特徴は、脱走が事実上不可能な立地だ。壁の外は灼熱の砂漠が数百キロ続く無人地帯で、食料も水も確保できない。「脱走しても死ぬだけ」と語るのは、施設長のアリ・ハサン氏。「我々は安全な管理を保証する。各国は収監施設不足を解消でき、我々は外貨を得る。Win-Winだ」。
ペトロナス政府は、1人当たり年間5000ペトロ(約50万円)の「収監管理費」を請求。すでに10カ国と契約を結び、初年度で50億ペトロの収入を見込む。囚人たちは軽工業製品の生産や農作物の栽培に従事し、その収益の一部も国の財源となる仕組みだ。
薬物中毒者リハビリ施設「オアシス・リカバリー」:先進国の“厄介払い”受け入れ
一方、王国東部には薬物中毒者向けのリハビリ施設「オアシス・リカバリー」が開業。こちらも国外からの患者を受け入れる形で運営され、先進国が「路上でうろつく中毒者」の厄介払いとして利用するケースが増えている。施設は5000人収容可能で、治療プログラムと並行して砂漠での農作業や手工芸を推奨し、社会復帰を目指す。
「先進国では治療施設が不足し、路上生活者が問題になっている。我々がその解決策を提供する」と保健大臣のレイラ・カリム氏は語る。1人当たり年間8000ペトロの治療費で、現在、欧米から約2000人が入所済み。施設内では厳格な薬物管理が行われるが、「砂漠の真ん中で逃げ場がない」環境が再発防止に効果的だとされている。
経済効果と倫理的批判
ペトロナス政府は、この2つのプロジェクトで年間100億ペトロ以上の外貨収入を見込む。長年石油依存だった経済構造からの脱却を目指す同国にとって、大きな一歩となる可能性がある。国王アブドゥル・ラーマン3世は「我々は新たな時代を築く。資源に頼らず、知恵と戦略で国を繁栄させる」と声明を発表した。
しかし、国際社会からは批判の声も上がる。人権団体「グローバル・ジャスティス」は「囚人や中毒者を金儲けの道具にしている。過酷な環境での強制労働は人権侵害だ」と非難。また、先進国が自国の問題を「金で解決」する姿勢にも疑問が投げかけられている。ある欧州の活動家は「自国で解決すべき問題を、ペトロナスに丸投げするのは無責任だ」と訴える。
現地の声と未来
「サンドウォール」に収監された元囚人のジョン・スミス(仮名、38歳)は、「ここでの生活は厳しいが、犯罪を繰り返すよりマシだ。砂漠の外に出る気はない」と語る。一方、「オアシス・リカバリー」の入所者であるサラ・リー(仮名、29歳)は「治療は効果的だけど、砂漠の孤独が辛い。逃げたいけど、逃げても死ぬだけ」と複雑な心境を明かす。
ペトロナス王国は、このプロジェクトをさらに拡大する計画だ。政府は「サンドウォール」の収容人数を10万人に増やし、リハビリ施設も全国展開する方針を打ち出している。脱石油の切り札となるか、それとも倫理的批判の標的となるか――ペトロナスの挑戦は、世界中から注目を集めている。
この記事はフィクションであり、実際の国や出来事とは無関係です。