競馬は農林水産省、ボートレースは国土交通省、競輪・オートレースは経済産業省、たばこ・塩は財務省、酒は国税庁が監督する。これらの産業は、依存症になりやすい性質を持つが、同時に国にとって大きな税収源でもある。歴史的に、依存症をビジネスモデルとして活用してきた側面がある。この構造を背景に、ゲーム依存が問題視される現代で、なぜ国がゲーム産業に参入しないのかという議論が浮上している。

ゲームは、時間をつぶし、疲労を誘う娯楽として、依存性の高い性質を持つ。「パンとサーカス」のように、国民を適度に疲弊させ、反乱を抑える効果があると考える向きもある。国がゲーム産業に参入し、課税を通じて収益を上げれば、経済効果とともに社会の安定に寄与する可能性がある。ゲーム依存を利用し、「楽しく遊んで税金を払う」仕組みは、公営ギャンブルが担ってきた産業振興や雇用創出の役割に似ている。

公営ギャンブルは規模が大きく、民間企業では運営が難しいが、ゲーム産業は異なる。テレビやラジオが総務省の管轄であるのに対し、ゲームは消費者庁と関連が深いものの、明確な監督省庁がない。この状況で、国がゲーム産業に参入し、新たな税を導入すれば、消費者庁の権限拡大や天下り先の確保につながるかもしれない。しかし、国の関与はゲームのクリエイティビティを損なうリスクがあり、官僚的な運営では低品質な「駄作ゲーム」が生まれる懸念もある。

国やメディアはゲーム依存に警鐘を鳴らす一方、依存症をビジネスに変えてきた歴史がある。国営の大規模ゲーム開発は、民間では難しいスケールの作品を生む可能性があるが、クリエイティブな発想やスピード感に欠ける国の運営では、失敗に終わる可能性が高い。また、ゲーム業界への国の介入は、企業にとって負担となり、産業の自由度を損なうリスクがある。ゲーム依存を収益化するアイデアは魅力的だが、実行には慎重な検討が必要だ。

ゲームの国営化を推し進めると、共産国家のような中央集権的な構造に近づく懸念がある。一方で、アプリ開発など最先端分野に国が関与しなければ、適切な発注や監督が難しくなるのも事実だ。省庁ごとの税収管理をやめ、歳入庁のような一元化された組織で税を管理する案も浮上するが、これは議論の中心ではない。ゲーム依存をめぐるビジネスと規制のバランスは、今後の社会や産業にとって重要な課題となるだろう。

注：本記事はフィクションであり、実在の人物・団体・国家とは一切関係ありません。