ポテトチップス工場とバナナジュース工場からカリウム肥料の製造実験開始

ニホニウム共和国の農林環境省は、国内の食料品製造業から発生する産業廃棄物を活用したカリウム肥料の製造実験を、ポテトチップス工場とバナナジュース工場から回収した廃棄物を原料として開始したと発表した。このプロジェクトは、カリウムの海外依存度を低減し、循環型農業を推進する国家戦略の一環として注目されている。

 

プロジェクトの概要

ニホニウム共和国は、肥料の三大要素である窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)のうち、カリウムの原料を海外からの輸入に依存している。今回の実験は、国内で豊富に発生する食品廃棄物、特にカリウムを多く含むジャガイモの皮(ポテトチップス工場)とバナナの皮(バナナジュース工場)を活用し、持続可能な肥料生産を目指すものだ。

実験は、首都近郊の工業都市「サツマイモ市」にある「ニホニウム・スナック社」(ポテトチップス製造)と「トロピカル・ドリンク社」(バナナジュース製造)の協力を得て実施される。両工場から回収した廃棄物を原料に、バイオ処理と化学処理を組み合わせた方法でカリウムを抽出し、肥料として利用可能な形態(硫酸カリウムや有機カリウム肥料)に変換する。

 

廃棄物の特性と回収量

・ポテトチップス工場(ニホニウム・スナック社)

同工場は1日あたり10トンのジャガイモを処理し、約1.5トン(15%)のジャガイモの皮や切れ端が産業廃棄物(動植物性残さ)として発生。ジャガイモの皮は100gあたり約450mgのカリウムを含み、1.5トンの廃棄物から約6.75kgの純カリウム(K2O換算で約8.1kg)が抽出可能と試算される。

・バナナジュース工場(トロピカル・ドリンク社)

同工場は1日あたり2トンのバナナを処理し、約0.8トン(40%)のバナナの皮が発生。バナナの皮は100gあたり約330mgのカリウムを含み、0.8トンの廃棄物から約2.64kgの純カリウム(K2O換算で約3.2kg)が抽出可能。

合計で、両工場から1日あたり約9.4kgの純カリウム(K2O換算で約11.3kg)が回収可能な見込み。実験では、月間30日稼働で約282kgの純カリウム(K2O換算で約339kg)を生産目標とする。

 

製造プロセス

実験では、以下のプロセスでカリウム肥料を製造。

1.収集と前処理: 両工場から廃棄物を分別回収し、異物(プラスチックや油分)を除去。ジャガイモの皮は洗浄後乾燥、バナナの皮は水分調整を行う。

2.カリウム抽出: 廃棄物を高温焼却(灰化)し、カリウムを含む灰を生成。その後、化学処理(水溶性カリウムの抽出)を行い、硫酸カリウムや有機カリウム肥料を生成。

3.品質検査: 肥料の純度や重金属含有量を検査し、農業利用に適した規格(ニホニウム農林規格)を満たすことを確認。

4.試験散布: サツマイモ市近郊の農地で、トマトやホウレンソウを対象に肥料効果を検証。

 

コスト試算

以下は、1ヶ月(30日)の実験期間におけるコストの概算。

廃棄物収集・運搬: 両工場から専用車両で回収。1日あたりN\50,000(車両・人件費含む)×30日 = N\1,500,000。

前処理・加工設備: 洗浄機、乾燥機、焼却炉、化学処理装置の運用。初期投資(設備導入)はN\10,000,000(5年償却で月額N\166,667)、運用コストは月額N\1,000,000。

人件費: 技術者5名(1人あたり月給N\400,000)= N\2,000,000。

検査・分析: カリウム含有量や安全性検査。月額N\500,000。

その他(電力・水道・雑費): 月額N\300,000。

総コスト: 約N\5,466,667/月。

・生産量と単価

月間カリウム肥料生産量:K2O換算で約339kg(硫酸カリウムとして約700kg)。

市販の硫酸カリウム肥料の価格:約N\300/kg(輸入品基準)。

生産コスト単価:N\5,466,667 ÷ 700kg = 約N\7,810/kg(初期投資含む)。

現時点では市販品より高コストだが、設備償却後やスケールアップにより、コストはN\3,000/kg以下まで低下する見込み。国内生産による安定供給や環境負荷低減の付加価値も期待される。

 

期待される効果と今後の展望

農林環境省の担当者は、「ニホニウムはカリウム肥料の80%以上を輸入に頼っている。この実験が成功すれば、国内資源の有効活用と地政学的リスクの軽減が可能だ」と述べた。実験では、肥料の施用効果として、トマトの収量15%向上、ホウレンソウの葉色改善を確認する目標を掲げる。

また、バナナの皮は水分が多く腐敗しやすいため、効率的な乾燥技術の開発が課題。ジャガイモの皮は油分やでんぷんの処理がポイントとなる。両工場は廃棄物処理コストの削減(従来は1kgあたりN\50の処理費用)にも期待を寄せる。

今後は、2026年までに中規模プラントを建設し、年間10トンのカリウム肥料生産を目指す。サツマイモ市長は「このプロジェクトは地域の食品産業と農業の連携を強化し、循環経済のモデルケースになる」と意気込みを語った。

 

専門家のコメント

ニホニウム農業大学の山田博士は、「ジャガイモとバナナの皮はカリウムの宝庫。技術的に安定した抽出プロセスが確立できれば、輸入依存からの脱却に大きく貢献する。ただし、廃棄物の品質管理とコスト競争力が鍵だ」と指摘する。

ニホニウム共和国のこの挑戦は、食品廃棄物を宝に変える新たな一歩として、国内外から注目を集めている。

※本記事はフィクションであり、事実に基づくものではありません