イスラム原理主義

記入日:2003/09/20

「イスラム原理主義(岡倉徹志 著)」を読んだ。イスラム教というとマホメットが預言者(予言者ではない)が広めたもので、メッカの方向にお祈りし、豚を食べない世界三大宗教のうちのひとつ、くらいの知識しかなかった。まぁ、テロ絡みで原理主義の名は聞くことはあるが。

で、実際に読んでみると正直な話、「なるほど、実はこんな宗教だったんだ」と思うことはなかった。信じて善い行いをすれば天国へ的なことをはじめとして、だいたい思っているとおりだった。ただ、意外だとすれば、マホメット自身が戦をしかけていることか。

教えに、「追い出されたら追い出せ、彼等のしたことは殺人より重い」とあるから無理もない。そこにも「相手が和平を申し出たら受ける」「自ら仕掛けるな」という抑止力的な言葉もある。「戦いを挑まれれば迎い打て」と最初にあるが。

しかし、原理主義は本来のイスラム教とは趣が違うようで、何かにつけてジハードである。ジハードこそが教徒の優先すべき事項と、先に立つ者が先導してきた歴史がある、近年では。しかも、ジハードで死ぬことは大変名誉なことなのだそうだ。

中にはフィリピンのサビリユーン(正しい道を行く人の意)のような、「天国に向かう前に、出来るだけ多くの非イスラム教徒を殺すこと」を目的にしている場合もある。もっとも、フィリピンのそれはイランの原理主義者が焚きつけたものらしいが。

そういうふうになっていく元になった教えは「イスラムで統一された世の中でなければ安定はない」という教えなのかも知れない。その解釈の違いが攻撃的になっている理由なのかもしれないが、あくまで教えの中には信仰の強制はしないようにとある。教えと言っても、マホメットが神から授かった言葉のもの他に、それに基づいてマホメットなどの信仰で上にいるもの(正確な表現じゃないけど)の慣行も含まれる。

ちなみに、よく聞くスンニ派とシーア派は誰が正統な教主だったのか差であるらしいが、どうもはたで見ていると喧嘩しているだけにしか見えない……。

で、本のほうはイスラエル建国に絡む問題や、アメリカのイスラエルへの肩入れ問題(この間も国連で拒否権使ったしね)を解決することが、テロをなくすために必要としている(端折りすぎてますが)。

それから、イスラム過激派は平和を愛するイスラム教徒のほんの一滴でしかないとある。だがしかし、イスラム教徒12億人で、過激派は数千人しかいないと書かれても、数千人はなかなかどうして多いではないか。数千人=九千人くらいに考えれば、イスラム教徒のクラスがあれば3人くらいは過激派がいるってことじゃないのかい。怖いよ、それは。

さらに怖い話がある。インド系イギリス人作家が書いた「悪魔の詩」がイスラムを冒涜しているとして、ホメイニ氏が死刑宣告をしている。その上、その本の日本語訳を担当した筑波大学の五十嵐一助教授が1991年に何者かに殺されている。

コーランを燃やされて暴動みたいなのが日本でもあった。くれぐれも軽々しくイスラムを批判するようなことはしないほうが身のためだと、本書で言いたかったのとは違う教訓を受けた日でした。

 

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