阿仁町の悲恋伝説

記入日:2003/09/30

最近買った雑誌に阿仁町の悲恋伝説の話が載っていた。中ノ又渓谷の見事な紅葉が、その伝説に文字通り色を添えている。伝説はこうだ。

阿仁町の山奥には金山があり、そこに美しくて気立てもやさしい「ヤス」という娘が働いていた。ヤスはいつしか金山で若者頭として腕もよく実直な「久太郎」という若者を慕うようになり、山小屋への女の出入りは御法度とされる「金山のおきて」を知りながら、人の目を忍んで逢引を重ねていた。

やがてそれは人の知れることとなり、周囲からねたまれたため、ヤスは山を降り、久太郎もヤスに迷惑が及ぶことをおそれ故郷へ帰った。ヤスは再び会える日を待っていたが、かなうことはなかった。

悲観したヤスは滝に身を投げてしまうが、その身は滝壺に沈んだきり、いつになっても水面には浮かび上がってくることはなかったという。それ以降、中秋の名月の夜にヤスが岩に腰かけて髪をすくと言い伝えられ、「安の滝」の悲恋伝説が生まれた。

「安の滝」はヤスの恋心を象徴するかのように周囲が燃えるような紅葉につつまれるこれからの季節が見頃となると、その文章は結んでいる。

美しい紅葉を見た後に、私には言わずにはいられない言葉がある。

「この紅葉をまた見に来よう」

何のことはない。ただのダジャレだ。

 

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