夏目漱石の「こころ」

記入日:2003/10/28

夏目漱石の「こころ」を今更ながら読んだ。学生時代、教科書で一部だけ読んだ記憶がある。おかげで、犯人のわかっている推理小説を読むような気分を味わった。教科書では先生の遺書の部分に触れていたからだ。習ったことで本来の楽しみが味わえなかった、そういう意味で国語教育の現代文という科目を疎ましく思う。

購入のきっかけは書店でのキャンペーンのようなものだ。読者が選ぶ私の好きな本、といった感じのランキングがあり、ベスト10位くらいまでの本が並べられていた。そこで「こころ」が一位だったというそれだけの理由で買ってしまった。

序盤は先生のもったいぶった態度が気に入らないながらも(親友が自殺したのを知っていたからなおさら)、教科書にあった場面にどう繋がるかが気になった。田舎に帰ってからのやりとりは、同じ田舎に住む者として共感するところがあったが後は特にない。

後半は先生やKの恋愛観や人生観を何処か遠い目で見てしまったので何とも。もっと若いうちに読んだら素直に読めたのかもしれないなぁ~と思いつつ、先生の遺書は小包で届いたのではないかとそのボリュームから思ったり思わなかったり。

坊っちゃん

夏目漱石の坊っちゃんを読み終えました。教科書に載っているような作品は避けてきた私ですが、この間何気なく買った「こころ」で心変わりしたのか、またしても漱石の定番を手にしてしまいました。

「こころ」と比べると対極にある感じがする作品です、月並みな感想だけど。文学作品では珍しいくらいの直情型主人公が気持ちいい作品ですが、それだけの作品にはなっていません。遺産の話など、こころとの共通点も見られます(解説に書いています)。

夏目漱石と言うと千円札ですが、私には「笑わない人」というイメージもあります。もしかしたら、私の記憶違いかも知れませんが、確か「知ってるつもり!?」で彼はあまり笑わない人だと言っていた気がします。

 

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