深夜の物音

記入日:2004/03/11

深夜二時、ザクザクと雪を踏むような音が聞こえて目が覚めた。家の裏から聞こえてくるような気がして窓を開けた。音は隣の家の空き家から聞こえてくるようだった。私と同じように母が窓から顔を出していた。母もザクザクという不可解な音が気になるらしい。

私はよく耳を澄ませてみた。あの音の正体を確かめようと思ったのだ。だが、もうその音はしなくなっていた。獣か、それとも誰か夜中に何かしているのだろうか? その疑問を抱いたまま私は布団に入った。

翌朝、起きて廊下に出てみて驚いた。屋根に網戸が張り付いていた。私の部屋の網戸が外れて廊下側の屋根まで飛んでいたのだ。そう言えば今朝は凄い風だったと想いながら、その網戸を元の位置に戻して考えた。昨日のザクザクも風と何か関係があるのではないか。

しかし、あのとき風はなかった。強い風が吹き始めたのは朝方になってからだ。私は窓を開けて家の裏を眺めた。裏庭には何かの足跡があった。それは同じくらいの幅で、裏庭を横断していた。さては、この足跡の主が昨日の音の犯人か?

残念ながらそれは違った。その足跡はどうやら祖父のものだったらしい。他に何かが通った形跡はなかった。結局、不可解な音の正体は掴めなかった。あれは深夜の雪よせだったのか、誰かが何かを埋めていたのか、それとも……

本当のところは知らない。ただ、何となくわかっていることがある。それは、あの音の原因は、きっとこんな重々しく書くような類のことではないだろうということである。

 

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