「APPLE SEED」

記入日:2004/05/02

東京に出向になった友人とこっちで初めて会った。夜、飲みに出かけることをメインとし、日中は映画でも観ようかという話になったので、散々CMを見せつけられて気になっていたCASSHERNを観ることにした。携帯で映画館を調べて最初に向かったのは上野だったが、次も立ち見とチケット売り場に表示されていたので観るのを辞めることにした。

次に向かったのは池袋だったが、ここも立ち見だったので多少迷った末に辞めた。二回続けてダメだったので、連休中は座ってみるのは不可能かなと思い、何か別のものを観ようかということになった。結果、その辺にある映画館の上映作品を見比べて「APPLE SEED」を観ることにした。

上映前から海外の配給が決まっていた作品であり、いろいろと話題になっている押井守監督が手がけたイノセンスの原作「攻殻機動隊」の作者が原作を描いている映画だ。近未来世界を舞台に繰り広げられるアクション、安っぽいキャッチフレーズで言うならそういった類の作品だ。

情報番組なんかでもよく取り上げられていた本作だが、やはり特出すべきなのは3DCG(ポリゴンゲームに近い)の動きをする平面絵だろうか(あまり適切な表現が浮かばない)。最初はちょっと気持ち悪かったが、本当にそれは最初だけだった。新しい可能性というか、新たな技術・映像表現を観た気がする。

ストーリーの方は原作を読んだことがないので、どれだけ原作に忠実かすらわからないが、この原作者の後の作品に比べたら若干青臭さを感じる。わかりやすいと言えば、わかりやすいが……。ただ、世界観はあの人だけに凝っているので、その情報量に圧倒されない人向けだろう(ある程度のそっち方面の知識がいるかもしれない)。

それはそうと、「未来は自分の手で変える」的な台詞を聞くと、苦笑してしまうようになったことに気づいた。これはもうそういう歳ということなんだろうか? それとも、心が荒んできたのか、あまりに使い古された型の言葉に辟易しているのか、それはわからない。

純愛が全盛期

映画が始まる前、お約束の他の映画の宣伝があったが、その中にある韓国映画を観ていて思ったことがある。冬のソナタを含めて思うのだが、向こうは日本では恥ずかしくてやらない部類の純愛が全盛期ではないのだろうか。そして、今その純愛さがおばさま達には昔への懐かしさとなってウケている気がする。

同じように宣伝されていた邦画と他を見比べて思うのは、日本の作品はジャンル分けしにくい作品というか、作品の方向性がずば抜けて一方向に寄っていないことで、存在感のなさやつかみ所のなさを出してしまっている気がする。リアリティーなどを追求した結果がそれならば悲しいとしか言いようがない。

牡丹と薔薇、真珠夫人(婦人? 漢字がわからない)などの非現実的で明らかに誇張し過ぎなものがウケる昨今の事情を見るに、人はやはり作られた話には現実性よりも非現実性を求めている気がする。現実にあるものをわざわざ見る必要がないと言えばそれまでだが、リアリティー至上主義が実はつまらないことに気づいたとも感じられる。

無論、ご都合主義的な展開の連発が許される作品と、許されない作品があるのは言うまでもない。しかし今、「やっぱドラマだな」という言葉を褒め言葉として作品に向けて言えるほど、創作された話が見慣れたものになったのだなと思えるのである。

映画の後は、近くの東京芸術劇場だったかな? に寄ってタダで見られるものを探した。で、ハングルの書道展的なところがタダだったので入り、そこで知っている人に会った。その後は、なんとなく恵比寿に行き、何故かバッティングセンターでバットを振り、友人宅がある蒲田へと向かった。

トカゲ酒と激辛麻婆

JR蒲田で降り、友人が行きたがっていたバーに入ったが、思ったよりも酒が薄かったのですぐに出た。京急蒲田から糀谷へと移り、そこの天空という中華料理の店で飲み直しをした。名物の餃子を食べ、激辛の麻婆豆腐を食べ、なすやマグロを食べた。

ここではトカゲ酒なるものを飲んでみた。説明するまでもないが、トカゲをつけた酒である。味はいたってまろやかで、トカゲだから何か違うということもなかった。店の人が言うには、まろやかに感じるのはその前に泡盛を飲んでいるからだそうだ。

トカゲ酒の他にはヘビ酒、イグアナ酒があった。は虫類なら何でも入れるのだろうか? ヘビなどは毒が気になるのだが、店主らしき人が言うには酒に漬けることで毒はうまみ成分に換わるらしい。アルコールで消毒されるんだろう的に思っていた私は少し驚いた。その人は、ちょっと怪しげな人だったけど。

この日、私らが飲んでいるすぐ近くではその店主らしき人と、地元商店街の人らしき男性が商店街生き残り戦略のような話をしていた。和民グループがどうだの、ジョナサンを潰すんじゃないか、コンビニで出店が早いのはセブンイレブンだ、セブンイレブンが出るところには儲けがある、一ヶ月で予想された儲けまで行かなければ撤退するだの、どこそこはホテルに泊まったサラリーマンが一杯やる店を出せばウケるといった話がされていた。

そんな熱い会話を繰り広げていた彼らだったが、私たちが麻婆を注文すると嬉しそうに話しかけてきた。中には食べ方にポリシーを持っている人がいて、友人は麻婆の中にそのまま入っている唐辛子を食わされていた。食わせた人曰く、種を入れてこそ唐辛子だそうだ(唐辛子じゃなかったかも)。

 

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