すべては「過去」に消え去る

記入日:2004/08/21

何もかもが遠い昔のようだ。深夜に放送されていた「山の郵便配達」を偶然観てそう思った。たかだか一ヶ月前にとある場所で観たものなのに、あのとき あの場所にいたことが今では酷く懐かしく感じる。一ヶ月後にはまた、あの場所にあのときのようにいるとわかっているのに、である。

それほどまでに、あのとき あの場所で過ごしていた時間が、私にとっては今までの人生と大きくかけ離れたものだったのかもしれない。それはまるで夢の中の出来事だったかのような、そんな感覚なのだ。また、いまだにあの場所にいる、あの場に参加する立場にあることに実感を持てないでいることに気づいた。

今日、飲みに行こうと思っていた友人が仕事上のトラブルなどもあって一緒に出かけることが出来なくなったので、ひとりブラブラ街を散歩して歩いた。去年の十一月、十二月に東京に来たときに泊まった場所を観に、九段下まで行ってみた。もう3ヶ月で一年が経つというのに、道順はハッキリと覚えていた(普通は覚えているが、方向音痴の私にしては珍しい)。

久々に前に泊まったホテルを観て、先と同じような懐かしさがこみ上げてきた。本当に時間の流れは早いと感じずにはいられなかった。あの故郷での日々から生活は一変した。止まっていた時間が動き出したかのような、そんな印象をこの数ヶ月間に持っている。

思えば、XXで暮らし始めたときもこんな感覚を味わった。最初、見知らぬ街に降り立ち、ホテルに泊まったときは、その街のお客さんという感じだった。その後、宿の近くに住み始めると、街の住人になったのだなと、家にたとえるならばお客さんから家族になったのだとなという気がした。住人になった後、以前泊まった場所を通るたびに、ここに来たときの初心を思い出す(目的があったので)。

今、あの場所を通り過ぎ、懐かしいと思えるということは、私もすっかり住人になったのだなと思えるのである。同時に過ぎ去った日々が本当に「過去」になった、そんな気がしている。そして、ここに来た目的も再確認するのである。

靖国神社に寄って

と、思い出話はここまでにして、ここからは散歩中のお話。せっかく九段下に来たので、靖国神社に寄ってみることにした。靖国に寄ったとはいえ、深い理由はない。首相の靖国参拝や戦犯者云々、代替施設の問題を語るつもりは毛頭無い。

境内に入ると、軍旗というのだろうか(軍旗:軍陣で主将の存在を示す旗。軍隊の表章とする旗。旧日本陸軍では歩兵と騎兵の連隊に天皇が親授し、大日章に一六条の光線を描き、竿頭に三面の金色菊花章を飾り、紫の総で三方を縁取ったもの。連隊旗)、日の丸(日章旗)から幾つかの赤い線が伸びた旗を前に記念写真を撮っている人たちを見かけた。

彼らが持っているボードか何かには「靖国に集まる会」的な名前が記されていた気がする。また、境内への入り口では何かを訴えている人が声を上げていた。「あぁ、靖国に来たな」と思った次第である。ところが、中国・韓国の反日感情の矛先とも言うべき靖国で、ハングル・中国語で書かれた絵馬を見つけた。

正直言って意外だった。読めないので何とも言えないが、名前にハートマークが書かれていることから、ここが特別な意味を持つ神社だという認識を持たないまま、絵馬を書いたような気がしないでもない。ただ、確かな記憶ではないが、中国語の文字、というか漢字なのだが、簡体字で書かれていなかったような気がする。

そのため、意図的に誰かが中国人のふりをして書いたのではと勘ぐってしまった。その目的はもちろん、彼の国の人も靖国へ理解を示している、靖国を否定しているのは一部の人間だという無言のアピールである。考え過ぎかな?

九段下の次は飯田橋に行った。理由は簡単、この区間の東西線の定期を持っているからだ。普段は降りない駅で降り、近辺を探索しようと思ったが特に興味を引かれるものもなかったので神楽坂に向かうことにした。その際、駅の構内で妙なカップルを見た。粘着質そうな男と茶髪の女性が顔を近づけて何かささやき合っていた。

神楽坂では、知人に勧められた飲み屋を確認し、そのまま飯田橋方面に歩いていった。細木数子事務所を見つけ、ペコちゃん焼きの店を見つけた。思ったよりも店があるなと感心しているうちに、気が付くともう飯田橋の駅まで来ていた。来た道を戻る気がしなかったので、もう一度飯田橋の駅から乗ることにしたのだが、先のカップルがまだ同じ体勢でささやき合っていた。

にっしょうき【日章旗】

わが国の国旗とされている日の丸の旗。布地は白色の長方形で、縦横の比率は横を一○○とすれば縦は七○。日章は赤で、その直径は縦の五分の三。日章の上下のあきを等しくし、日章の中心は旗面の中心より横の一○○分の一だけ旗竿の側に近寄る。一八七○年(明治三の太政官布告で商船規則を制定し、旗の規格を定めているが、これを「国旗」とする明文はない。。

きょくじつき【旭日旗】 朝日を描いた旗。もと日本の軍旗・軍艦旗などの類。

 

ランダム・ピックアップ