鯉の餌と匂いの記憶

記入日:2005/06/21

子どもの頃、よく祖父が池の鯉に餌を投げ込むのを見ていた。その餌は独特の匂いがするものだった。形状としては、酒のつまみでよくある金や銀の包み紙に入ったツナのようなものに似ている。鯉の餌といっても、羽を一枚だけ取った虻をやる場合もあったが、多くの場合はこの固形物を与えていた気がする。

何故、その鯉の餌を思い出したのかというと、ただ単にそれと似た匂いを嗅いだからだ。本当にただそれだけの話で、思い出したから書いただけなのだが、今思えば匂いから思い出が蘇ることがよくある。私の好きな匂いで変わっているものといえば、大鋸屑と油を合わせた匂いである。これは薪ストーブを使っていた頃、着火しやすくするために使用したものだ。

他では、排気ガスの匂いも子どもの頃好きだった。排気ガスと言っても全部が全部好みだったわけではない。好きな匂いというのがあった。後は何があるだろう? 女物の香水も好きだが、以前ドラクエの匂い付きのペンを通販で買い、気分転換に嗅いでいたのを覚えている。

思い出の匂い

とまぁ、思い出の匂いというものがある。それと同時に思い出の味もあるといえばある。母は料理が下手だったので、おふくろの味への思いはまったくないが、地元のパン屋が一時やっていたチェリーパイ、同じく地元の酒屋で買ったドイツワインのホック、600本くらいしかないサントリーウイスキー山崎の一杯が忘れられない味となっている。

ついでに書くが、以前は年に何度か無性にカシューナッツを食べたくなる日があった。今も無性にラーメンが食いたくなる日がある。そんな日は「ラーメンを食わせろ~」と心の中で歌っている。本当にとりとめのない話を書いてきたが、五感に響く思い出があるという話である。

 

ランダム・ピックアップ