地球村 ~光と影~

記入日:2003/10/26

田舎というのは不思議なところで、公的な場で何か催し物があると、誰も集まらなかったら困るからと参加を呼びかけられます。そんなわけで、地球環境講演会なるものに行って参りました。特筆すべきは、この講演会が「ネットワーク『地球村』(NPO法人)」の高木代表によるものだということです。この団体に対して肯定的な方も否定的な方も、知らない方のような気持ちでこの先を読んでくれると幸いです。

公演はゴミ問題から始まりました。焼却炉の数について、ドイツは50、アメリカは170、日本は? と問いかけた後に、スクリーンに「日本1890」という数字が表示されました。その数字を見て、「情けない」という声が会場から起こりました。この声は自発的に起こったものではなく、何かを見せた後に「○○ですが、嬉しいですか? 情けないですか?」という質問がなされ、それに答えることで講演会に参加するという趣旨のもとで代表から呼びかけられたものです。

この後、ゴミ問題ではヨーロッパのスーパーのレジの写真が出されます。いつの時代の写真かはわかりませんが、果物が包装なしのばら売りで売られているのがわかります。これらは専用の機械で何を何個買ったか自己申告制でレシートを作り、レジに持って行って会計をするのです。代表は日本だったら不正が起こるということを言うと同時に、過剰包装をしないヨーロッパを持ち上げました。

次に話したのは4つのRで、4つのRとは、REFUSE(やめる)、REDUSE(減らす)、REUSE(再利用)、RECYCLE(再資源化)のことです。手始めに空き缶、瓶などの分別はリサイクルか再利用かを問いかけ、リサイクルであることを言った後に、リサイクルより再利用の方が、お金がかからないからいいというようなことを言いました。そこで、ヨーロッパでは瓶は規格統一されていること、企業には出した製品(ゴミとなる部分も)の責任があるので缶がなくなり、缶は日本などの輸出用だけになったこと。ヨーロッパではゴミの回収が有料になっていることと、日本では無料だが実質一世帯36万円かかっていると言われました。また、このヨーロッパで施行されている企業が出すゴミの責任を企業に~という法律が、日本で出来ないのは企業が反対するからで、ゴミの有料化は市民が反対するから成立しない、いわば両者はグルであるということも言いました。

次はダイオキシン問題です。塩化ビニール製のもの、例えば卵パックひとつで東京ドーム一個分(二個分だったかも、この辺は不確か)が汚染される話から入り、ダイオキシン問題の放送で有罪になったテレビ朝日の話に少し触れ、一連のテーマでもあるグリーンコンシューマへと展開していきました。グリーンコンシューマ、要はお仲間募集のお話です。それは別にして、ダイオキシン問題については先進国の土壌基準10ピコグラムを超えてはダメというのと、日本にその基準がなかったことを比較して、例の「情けない」合唱が起こりました。次に政界にもいるらしいグリーンコンシューマの方々が、超党派でダイオキシンを規制する法律を作ったことを言い、その値が他の政治家の反対もあって1000ピコグラムまで上がったというので、また「情けない」の声が起こりました。ちなみに、そういう政治家を選んだ責任というものと、グリーンコンシューマが日本には1%で、ヨーロッパは70%なのが、環境問題への取り組み不足の原因と述べ、まず自分から変えていく必要を訴えました。これを皮切りに「悪いのは?」「自分」といったような問いかけと答えが会場で繰り返されます。

話題は環境ホルモンに移ります。例の精子の数が減少しているというデータですが、私が以前見たものとはちょっと違う物のようです。環境ホルモンに関してはビニールハウス、食物の問題性などが上がりました。食物に関しては具体例として、妊娠時には魚介類は食べるな、子どもには母乳は飲ませるなと政府が指導していることを挙げました(私が前に見たニュースでは、一部の魚をあまり食べないようにというレベルだったような気がしますが、気のせいでしょうか?)。

最後は地球温暖化です。何十年か後には温暖化による海面上昇、それに伴う水没する地域と、そういう地域には平野が多く、また平野では農業が行われているために食糧問題が起こるとおっしゃいました。氷河期だって今よりも3度低いだけであの通り、地球の平均気温が数度上がることの大変さを繰り返し主張されました。二酸化炭素削減の目標と現状にも話されましたが、私が他で見たデータとはちょっと違うようでした。最後には文明は砂漠になって滅んだこと、文明が栄えた場所には河があったために豊かな土壌になったという中学校の授業でやるようなことの後、治水工事によって川の氾濫がなくなったために肥沃な大地がなくなって滅んだと言われました。私は武田信玄の治水工事や始皇帝の治水工事などを思い出し、主張されることとは違うことを考えていました。最後は餓死していく子供達の写真で締めくくられました。

講演の後で

講演の方はだいたいこんな感じでした。所々に国連に参加している写真や、アナン事務総長からの感謝状(代表がそういっていました。英文は字が小さく読めませんでした)、地球村のメンバーの数、お偉いさん相手にも講演していることなど、信頼性をアピールするものが入りました。3200回を超える講演数についても繰り返されました(それだけやっているということは、他の活動はあまりしていないのかもしれません)。また、同時に何よりも経済優先の日本を批判し、地球村の仲間になりませんかという呼びかけをされました。あと、代表が一日一食、睡眠時間は三時間、入浴はせずにシャワーだけ、冷暖房はつけない、車の免許は捨てたことを強調されました。出された弁当は食べられたようですが、自分たちの箸は持って歩いているようです。

講演終了後は代表の本を買う人や地球村の会員になる人が受付に集まっていました。主に4.50代の女性達でした。盛んに「情けない」を言っておられた人々達だと思われます。ちなみに、会員になると情報誌が送られてくるそうです。正会員になるのは5000円(継続5000円)、賛助会員は一口10000円です。私はその場を素通りして家に帰ってネットでこの団体について調べてみました。

検索すると各地の地球村が引っかかります。『XXX「地球村」』も比較的すぐ見つかりました。某匿名掲示板では、代表が関わっている財団の補助金の不正受給による刑事告訴、経歴詐称疑惑、国連登録問題、ヤマギシ参加疑惑等々、様々な問題が取り上げられています。あくまで某匿名掲示板なので信頼性に疑問があるのですが、補助金の不正受給などは経済産業省の情報なので、全てを否定することはできないと思われます。もっと詳しく調べ、それこそ何百ものソースからこの問題を検証すれば、もう少しましな文章も書けるのでしょうが、面倒なのでこの辺にして「これを見て、あなたはどう思いますか?」と問いかけて終わりにします。色々書いているうちに疲れてしまいました、引っ張っておきながらごめんなさい。

しかし、情報というのは怖いですね。権威のある人や組織からの情報であっても、それが正確かどうかは何の関係もない一個人には調べようがないものが多いですから、幾つかの情報に関しては信じるほかなかったりします。だからこそ、リテラシーが叫ばれるのですね。情報が氾濫する社会、これは思う以上に大変な世の中なのかもしれません。などと、安易で本題を微妙にずらした締めをさせていただきます。

BODに関する捉え方

スクリーンに出された新聞記事(主に朝日、毎日)に関して、日付をメモって置いてチェックするのもよかったかなぁ~なんて少し思っています。チェックといっても、同じ版のは無理かもしれませんがね。

また、農薬がらみの話というか、日本の農作物の話では「食べるな危険!」という本と正反対だという印象を持ちました(国産至上主義か否か)。その本も極端なところがありますが。この本のことで思い出すのは、無洗米の項で述べているBODに関する捉え方に関してです。

BODとは生物の酸素要求量のことで、要は濁った水を分解する目安みたいなものでしょうか。米のとぎ汁、ラーメンのつゆを分解するのは大変だと言われているあれです。このことで、某環境関係の水質に携わる方に聞いたところ、「BODを絶対視すると魚や微生物が毒性で死ぬ合成洗剤よりも米のとぎ汁の方が危険」といった記述は捉え方の間違いであると指摘されました。毒性のあるものはその毒故に危険、なかなか分解できないものは分解できない故に危険という捉え方をすべきと強調されたと記憶しています。

 

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