悪さの根本

記入日:2004/04/14

人質となった三人に対する中傷がどこかで起こっているのか、彼らの行動は軽率だったのかもしれないが、やろうとしていることは立派だと強調するコメンテーターを見かけるようになった。捕まった彼らが悪いのではなくて、根本的な悪さは武装グループにあるという発言まで見かけた。正直、程度の低さにうんざりだ。

以前、某宗教団体にだまされて入信させられた娘を、その団体から脱退させるために関係者と口論をしていた中年女性を見たことがある。街中のカフェであった一幕で、私は偶然そこに居合わせてしまった。その口論後、近くにいた女子高生の言葉は次のようなものだった。

「騙される方が悪いよね」

根本的な問題の所在をわかっていないのだろうか。法的に、人間的に悪いのは騙す側である。それを騙される側が悪いと言うのは如何なる考えでの発言だろうか。問題提起してみたところで考えるのも馬鹿馬鹿しい。彼女らは単に耳障りな声を上げていた中年女性が生理的に嫌いだから言ったのだろうということを推測させる会話をしているからだ。

「鍵をかけていない自転車を盗まれた」=「鍵をかけていないおまえが悪い」。「貸したお金が戻ってこない」=「貸したおまえが悪い」。騙すより騙される方がいいという言葉も聞かなくなった。「悪さ」の所在を生理的に決めてしまう、隙があれば盗まれるor騙されることの方が常識となってしまったと思うと、世知辛い世の中になったものだと悲しくなる。

 

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