顔を覚えない、覚える

記入日:2004/06/04

以前、一度だけ会って話したことがある人に声をかけたら、覚えられていなかったためにすごく驚かれた。「あのとき会いましたよ」と言って、「あぁ~」とようやく思い出してもらった始末だ。初めて会ったとき、それなりに話はしていたので、相手の記憶力の悪さを嫌に思ったが、似たようなことは私にもあるだろう。

人の顔を覚える・覚えないの差はどこから来るのだろうか。いまいちはっきりとしないが、この間 記憶障害者に関するビデオを観たとき、ある時以後のものは記憶できない(といっても、できる場合もある)人が感情を伴った場合のみ、記憶しているというのを見た。

感情を伴うと覚える。なるほど、その通りだと思えるところがある。今回のケースで言えば、その人に対して私は不快感を覚えていたので、記憶に残ったのだと思う。相手にしてみれば、何の感情も誘発させなかった存在だったために、私は覚えられていなかったとも考えられる。まぁ、あくまでも、この原理だけみて考えれば、であるが……。ただ、そうとは言っても相手の覚えの悪さはちょっとおかしい……。

顔を覚えない、覚える

昨日、人の顔を覚える・覚えないということを書いたばかりだが、自分も覚えが悪いということを痛感する出来事があった。あまり話したことがない人だが、一応 週に二度ほど同じ空間に数時間いる人の名前を覚えていなかった。というか、忘れてしまっていた。

決して彼の存在が自分にとって薄いわけではない。今回のケースはこの前とは大きく違っている。私は彼の名前を忘れていたが、彼そのものを忘れていたわけではない(その点で以前挙げた人とは違う)。あくまでも、私は彼の名前を忘れていただけだ。

彼の名前を忘れてしまったのは、彼が前の飲み会の時に幹事をやったせいだろう。「幹事、幹事」と呼んでいるうちに(昔流行ったドラマではないが)、名前の方をすっかり忘れてしまっていた。いつも「部長」と呼んでいるけど、名前は何だったかなぁ~? いつも「委員長」と呼んでいるけど、名前はなんだったかなぁ~?といった類の話である。

記憶障害者のビデオ

※ 文中の記憶障害者のビデオとは、以前NHKで放送されたウェルニッケ脳症の人を取り上げた番組です。その人は胃の切除手術を受けた後、高カロリー溶液で栄養補給を受けましたが、その溶液にはビタミンが含まれていなかったために、ビタミン欠乏が起こってウェルニッケ脳症(前向性の器質性健忘になるのだろうか)になりました。

当時、厚労省は医療費削減のためにビタミン剤に対する保険打ち切りを決めたために、医者はビタミン剤の使用をしなくなっていました。そのために起こった症状と説明されていました。記憶には技術記憶、知識記憶、そして思い出を記憶するという3つのパターンがあるそうです(確か)。彼の場合、思い出を記憶することができない病気のようです。

訂正と補足

この間の記憶障害者に関する記述の訂正と補足がある。「記憶には技術記憶、知識記憶、そして思い出を記憶する~」と書いたが、まず短期記憶と長期記憶で分けるべきだった(作動記憶は意図的に抜かす)。その長期記憶は手続き的記憶(前に書いた技術的な記憶。番組内ではこう説明)と宣言的記憶(言葉によって記述できる事実についての記憶)に分かれ、後者は更にエピソード記憶(前に書いた思い出の記憶)と意味記憶(前に書いた知識の記憶)に分かれる。まぁ、こんな書き方では専門家の嘲笑を浴びそうだが……。

 

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