世界を変えうる無知な人々

記入日:2004/07/17

※ 自分のことを棚に上げて書いています。

フィリピンがイラクに派遣した自軍の撤退を決めた。自国民を人質に取った武装組織の要求に応じたのだ。この判断がいかなる評価がされるのかは、今後の成り行きを見なければならないが、私には全面的に支持できる選択ではない。

前にも書いたが、一度要求を呑むことで人質を取れば言うことを聞く国だと思われるのは危険なことである。今回要求を呑んだことで、次々に同じ類の事件が起こり、呑めない要求を突きつけられたらどうだろうか? そんな要求は呑めないと言ったら、前の人質の時は呑めて何で今度は呑めないんだと、新たに家族が人質となった人は言うだろう。この引っ込みのきかなさが恐ろしい。

だが、その一方であくまでも武装勢力の要求は撤退だけであって発展性はないという希望的観測もある(国の規模のこともあるし)。その判断の別れ際が難しい。ただ、犯罪者の心理として、一度自分たちの要求が呑まれたら、物事の考え方全般がエスカレートするという可能性が否定できない。まぁ、いずれにせよ、難しい問題である。

こういった問題を何も考えずに「人命優先、撤退すべき」だと後先に起こることを考えずに決を下し、最悪の事態が起こった後には「こうなるなんて思わなかった。私たちは十分頑張った。仕方ない」という連中がいる。そういった輩が私は解せない。もっと直接的に言えば、ニュースを読めないバカが憎らしい。

一票の質

新聞の読者投稿の多くは、無職、主婦、学生、自営業、大学教授である。何故、彼らの投稿が多いのか? それは社会問題を考えているからではなく、単に暇だからに過ぎない。それは彼らが書く文章を見てみればわかる。

彼らの文章には「世の中を考えている偉い自分」=「褒めて」的な意図が見え隠れしている気がしてならない。自分の中のみで通用する完全無欠の正論を言い、自己陶酔に浸っている感がある。

たとえば、ダッカ事件のときに、時の内閣総理大臣福田赳夫氏が「人命は地球よりも重い」(この重い人命とはアメリカ人の人質であって日本人ではないという人もいる)と言って犯人グループの要求を呑んだことがあった。この選択はテロの拡散だと世界各国に非難され、日本の国際的な信頼は損なわれた。このことに関して、信頼は取り戻せるが命は取り戻せない、あの総理の発言の重みを感じると書いていた老人がいた。

しかし、どうだろう。あのときの人質の命は助かったが、彼らを逃した上に資金まで与えたことで、より大きな被害があったではないか。彼らを逃がしたことで、より多くの人命が失われ、人権が脅かされたではないか。それを知った上での発言だと言うのなら、愚か者の一言に尽きる。また、知らずに言ったのなら、やはり愚か者の一言に尽きる。

女偏の漢字には悪い意味の言葉ばかりで、これは性的な差別だと主張する主婦がいた。別にそう意見することは構わない。問題は「どうしてみんな改正しようと思わないのだろう」という文言だ。文章の流れから、そこには「全国で初めて気づいた偉い私」的な意味合いが含まれていた。そういった意図が見えると、女偏の漢字を改正することでの損失を考えたことがあるのだろうかと問いたくなる。

漢字をひとつ直すとなると、膨大な量のデータを変換しなくてはならない。この非効率性を社会から遠ざかった主婦の人には理解できないのだろうかと思わずにはいられない。別に主婦のすべてが社会から遠ざかっていると思っているわけではない。彼女のように、現実的な視野を失った人を見るとそう思わずにはいられないだけのことだ。

今で言うなら、冬のソナタにはまる層も当てはまる。それ自体に夢中になるのは咎められることではないが、他に成すべきことをあまりにもおろそかではないか。娯楽にばかりにひた走り、社会という枠組みの中で辛苦を味わうこともなく醜く年を重ね、現実逃避のために異国という身近なファンタジーにすがりつく。本当のそれでいいのだろうか。批判というものを自らに向けることなく、他人にばかり向けて、すべての問題を自分の外に作る。この自己中心性がいただけない。

生涯学習の名の下に、勉強すると言えばハングルか陶芸等の芸術分野。少しは政治や社会に目を向けてはいかがだろうかと問いたくなる。勤めを終えてブラブラしている無職の人にも言えることだが、有り余る時間を社会貢献のために使おうとは思わないのだろうか。彼らが少しでもそのような動きを見せれば、世の中は大きく変わると私は思っている。

小泉ブームで票を入れ、安倍幹事長との二枚看板で票を入れ、選挙に合わせた拉致被害者家族の再会で票を入れ……。そんなことではいけないと気づくべきである。自民に入れるにせよ、民主に入れるにせよ、その他に入れるにせよ、各党の方針を比較検討した上で判断してもらいたいものだ。

何となくな気分で入れられたら、一票の質が下がってしょうがない。「選挙に行こう、選挙に行こう」という前に、その投じる一票の質を問うたらどうだろうか。「選挙に行く私は社会派で立派な大人」というくだらない幻想を捨て、まずは無知なる自分を自覚することから始めるべきだ。

話は変わるが、職場の人が曽我さんのあのキスで旦那は日本に帰ろうと思ったに違いないと言っていた。彼の推測によれば、「あぁ、やっぱり母ちゃんが一番。金正日バッチなんかつけとる場合じゃない」と彼も思ったとか。まぁ、あんなキスをされたらマインドコントロールも解けるかも……?

 

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