プロ野球のスト回避

記入日:2004/09/10

プロ野球のストが回避された。回避されたと言っても次の土日の話で、来週以降どうなるかはオーナー側の態度次第だ。この球界再編をめぐる問題に関しては、私ごときがあれこれ言うまでもなく、様々な問題が各所で噴出し、論議されているので敢えて書かない。

今回書くのは、メディア側が文句を言いづらい視聴者や購読者の態度に関することだ。まず、今日の午後六時のニュースで寄せられた意見について。ストライキをしなかったことで、日本のプロ野球選手は「自立」出来なかったと書いた主婦がいた。「何の自立だよ」と突っ込みたくなった。

「自立」という言葉に、以前受けた講義での話し合いのことを思い出した。そのとき、「自立」という言葉を用いたのも専業主婦の方だったが、その言葉の使い方がどうもおかしいところがあった。彼女らはやたらと「自立」という言葉を使いたがるが、専業主婦こそ経済的に「自立」していない存在ではないのか? 夫の給与で生活し、嫌な言い方をすれば養われている身であるにも関わらず、言うなれば夫に依存している存在にもかかわらず、夫に言いたいことは言い放題。いったい何の権限があるのかと問いたくなる。

なのに、法的な部分では過剰に保護されている。そんなに主婦は立派か? 社会に出て働くよりも大変か? というのが正直なところだ。家事の苦労がなんぼのものだと、一人暮らしの長い私には思えて仕方ない。「社会」から離れて久しい彼女らが、浮世離れした価値観を持っても仕方ないのかもしれない。しかし、大人として未成熟な物の見方で、公式の場に「THE 正論」と言わんばかりの顔をちらつかせるのはいかがなものだろうか。

それは、「選手会の言い分も分かるけど、それで迷惑する人が多いから」と言った人にも言える。この意見は、明らかにストライキすることによって損害を被る弁当屋などのニュースを見てのものだった。

ストライキすることでの経済的損失、第三の被害者と言わんばかりに流された球場近辺の弁当屋や旅行会社を見て、特に前者を見て同情したのだろうが、今ここでこういった態度に出なければ後々彼らを苦しめることになることまで、何故考えが及ばないのだろうかと思えてならない。

選手会が弱気な態度を見せ、球界が何も変わらなければファンも減り、日本プロ野球界も衰退していくだろう。そうなれば、弁当屋も今日明日の売り上げどころではない。

そういった長いスパンでの物の見方が出来ないことに辟易するところがある。同時に、プロ野球に依存した商売をしている者だからこそ、そういった覚悟があって然るべきだという考え方もある。でなければ、新しい道路が出来たら客が来なくなったという商店経営者がなんと言うだろう。

この一時的な損失、どっかの嫌なヤツの言い方を借りれば、「痛み」を耐えることの意味を考えて欲しい。無論、長い目での物の見方は選手会や球団経営者にも言えることだ。どうも目先の損失ばかりに目がいき、今後の球界にまで配慮が及んでいない気がする。

ファンなら何を言ってもいいのか

次に若者に目を向ける。若手の方が、ストライキ強硬派が多いと見る。しかし、若いだけあってストライキというものをよくわかっていない気がする。伝家の宝刀ストライキ、それは「やるぞ、やるぞと言って最後までやらない」ことに価値がある。やってしまっては、やった方にも不利益があるので、出来るならやらないに越したことはない。その辺を分かっていない。

もしかしたら、様々な「刺激」に溢れたこの世の中だから、より「刺激的」なものとしてストライキを求めているような気がしないでもない。それは、より「絵」なる映像を求めるメディアにも言える。この間、必要以上に騒ぎ立てていると書いて、あれだけでは説明不足だったと少し気にしているところがあった。あれは、「野球界はこうなる」「こう変わる」と可能性が低いことまで可能性大と言う姿勢が気にくわなかったという意味を含んで書いている。

まぁ、考えてみれば、労働組合なんて代物も旧時代の遺物にすら聞こえる世代ではある(人のことは言えないが)。ストが如何なるものか理解が足りなくても致し方ないと言える。それを言ったら、社会の仕組みを知らない、社会に出たこともない人にも言えるのだが。

それはそうと、ある程度歳を取ったサラリーマンになると、若干経営者側に立ったコメントも言うようだ。彼らの意見を聞いていると、人の上に立って働くということを経験したのだなということが感じられる。それに比べると、経営者側の論理まで言及していない若者のそれは幼くも感じられる。

いくらファンの意見を尊重と言っても、経営的に成り立たなければ辞めざるを得ない。それがビジネスの鉄則である。利益が出るか出ないか、そのドライさが経営者には求められる。

ただ、ゴーン(確か)が伝統ある企業スポーツチームを潰さなかったように、利益では計れないものがあることも確かだ。そういった面から言っても、「絶対」がある問題ではない。その辺まで熟慮したコメントを聞くことはなかった。所詮、六時のニュースはワイドショーか。

選手会への疑問と言いたいこともあるが、もうこの話題に飽きてきたので辞める。取り敢えず、最後に「ファンなら何を言ってもいいのか」「ファンは絶対か」という問いかけを残しておく。ついでにプロ野球には興味がないとして、これが経済的大きな問題であることに気づかない人への不信感のようなものも。

 

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