日本プロ野球界初のスト

記入日:2004/09/18

日本プロ野球界初のストが決行された。スト決行自体は昨日の段階で決まっていたが、私自身その報を知ったときは既に今日だったので今日の日記として書く。スト自体の是非に関しては正直言って私個人の意見はない。「こうだ」と言えるほどの強いものがないのだ。

ストが行われると実際にどんな被害があるのか、それを目の当たりにする意味ではストに意義はあった。選手側に経営を左右する大きな力があることを経営者側が再認識することが出来るだろう。だが、「ストをしただけ」に終わってしまうのではないかという危惧がある。

それはストを決行した選手会側への損害賠償請求の話が出ていることから来るものだ。選手会は労働組合だと認められたので、ストライキは正統な権利として選手会側にある。それなのに、ではあるが何か嫌な予感のようなものを感じずにはいられない。

もし、損害賠償請求が法的に認められなくても、経営者側が請求できるものだと考えているうちはストライキの効果はない。ストが起こっても賠償請求で元を回収するから問題ない、自分らの意見を通していこうと思う可能性がある。

また、そもそも経営者側には雇い主として選手は言うことを聞くべき飼い犬だという認識があるのかもしれないが(古い年代にはスポーツは単なるガス抜き、若い世代でもエリート組の中にはスポーツ選手はバカという認識があることも大きい気もする{高学歴の記者がスポーツ選手をバカにした聞き方をするというのを聞く})。

このストに対する損害賠償という対抗策をオーナー側にマル秘文書として送ったのが根来コミッショナーだと、すぽるとに出演したある方が言っていた。本来ならば、彼はオーナーと選手の間に立つべき人物である。それがオーナー側に寄っているとしたら機構としての存在意義がない。その彼が辞任を表明したところで「潔い」等といったプラスイメージを抱く人がいるだろうか? 下手をしたら「この人、誰?」とか、逃げたんじゃないのかと思われても仕方ない。。

街の意見

さて、街の意見に目を向けてみる。各テレビ局が街頭インタビューをしていたので、その幾つかに注目してみる。大半は選手会支持、ストは残念だけどしょうがないというものだった。その中で異色なものを幾つか紹介したい。まず、「球場に足を運ぶ人は絶対スト反対。(選手会は)ファンを無視している」と古田に文句を言う人がいた。「球場に足を運ぶ人は絶対スト反対」とあるが、球場で堂々とストライキ支持のプラカードを持って応援していた人もいれば、甲子園球場では古田コールが起こっている。みんな自分と同じ気持ちと錯覚しているか、現実が見えていないに違いない。

次に「オフシーズンに話し合ってほしい」というもの。それでは新規参入は間に合わない(参入には期限がある)。来期十二球団でやれるかどうかが焦点の時にそれはないだろう。また、シーズン中であるからこそストライキという行動に打って出られるのだ。もう少しものを考えてから言って欲しい。

もうひとつ。「選手の年俸は高すぎ。選手も悪い」というものに対して。別に選手が年俸をつり上げたわけではない。経営者側が高額年俸を「あげる」と言ってあげたのだ、大リーグを真似て(同じくらいないと、それこそ大リーグに行く人が増えるかもしれない)。「あげる」と言うのだから、いらないとは言えないだろう。

ちなみに、選手の年俸を40%下げても赤字は変わらないというシミュレーションが出ている。となると、野球界全体の構造改革が必要だと言わざるを得ない。放映権料から何から何まで、金の出入りをもう一度見直した方がいい。そして、どういったチームを応援したくなるのかということをもう一度見直して欲しい。

人は一生懸命頑張っている人を応援する、豪快なプレーや常人には出来ない凄いプレーが出来る人を憧れをもって応援する、勝ち続ける強いチームが好きな人もいれば、弱いチームがたまに勝つ姿に母性本能のようなものを刺激されて応援する人もいるだろう。

しかし、なんと言っても親近感というものは距離的な近さに起因する。自分の住んでいる街のチームには自然と愛着を持つようになるだろう。なんと言っても、実際に試合が見られるのだから当然である。そういった意味で、再三言われているフランチャイズ制への移行と、よりファンに愛されるプレースタイルを追求していかなくてはならない。

地域密着

地域密着絡みで話は逸れるが、地域のヒーロー特集としてTBSのブロードキャスターでは地域戦隊がクローズアップされていた。地域戦隊とはご当地名物を広めたり、環境保護を訴えたりしてる五人組のヒーローである。お子様向けの特撮番組、戦隊ヒーローものと同じように赤・青・黄にピンクや黒といったカラーの衣装(全身タイツ)を身にまとっているのが主だった。

別にそのヒーロー達が人気を博している、地域の活性化に一役買っているということに対して、これといったコメントがあるわけではない。私が言いたいのは各地のご当地ヒーローマップで、北海道にあった『雅楽戦隊ホワイトストーンズ』は今回の趣旨とは違うぞということだ。

このヒーローはローカル局で制作されたドラマが元である。白石区だけを守る地域限定ヒーローで、ナレーションは初代仮面ライダーの人が務めている。出演者は水曜どうでしょうで名をはせたローカルタレント大泉洋、その彼が所属している事務所の役者に社長の鈴井貴之といった面々である。

話を戻してプロ野球。ストは行われたものの、ファン感謝祭のような感じになった球場もあった。ストはしたがファンに対して何かしたいという選手の気持ちが見られた。球団側が練習施設を閉鎖する可能性もあっただけに、こういったストという最悪の事態の上に更に最悪の事態にならなくて良かったと思っている。

また、球場使用料、滞在宿泊費などの費用については「従来通り、負担する方向でいる」というのを聞いてホッとしたところもある。まぁ、あまりファンに嫌われる行動に出ることが得策でないことに気づいたのかもしれないが(そこまで手配が間に合わなかった、月曜には試合があるということあるもだろう)。

「(選手会は)合併延期ではなく、新規参入の条件緩和に動くべき」「(合併は決定事項だからというオーナー側に)決まったことを変更できないというのはお役所的」といった意見も見た。

この問題はとてもじゃないが書ききれないのでここで終わりにする。今後のことで注目しているのは、すぽるとに出た御仁が言った「コミッショナーがマル秘文書を送ったことがいずれ明らかになる」という言葉だ。それにしても、球界から牛(バファローズ)が消えることが決まった日に、牛丼復活というのも因果な組み合わせである。

 

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