必然と呼べるもの

記入日:2005/06/04

人生に偶然はない、すべては必然なのだと言う人がいる。その言葉を信じるわけではないが、時として物事をプラスに捉えるためにそういった思考に及ぶことがある。騒音野郎の性で理不尽な引っ越しを強いられた。その事実にかわりはないが、あの場所を移る必要が私にあったのだとすれば何なのかを考えてみる。いや、もっとわかりやすく言えば、かわったことでの利点により目を向けてみる。

即座に浮かぶのはやはりTVのことである。CATV、衛星放送が見られるようになった。これはそこで見られるテレビから得るべきことがあるのかもしれない。

次に、湯沸かし器関係の充実である。ハッキリ言って、前の所の湯沸かし器はいつ爆発してもおかしくない旧型だった。お湯が溜まるのにも時間がかかったし、お湯側の蛇口をひねればお湯が出るといった代物ですらない。お湯を出すのに段階を踏まえなくてはならないヘンテコな物だった。

次に立地条件を見てみる。最寄り駅は同じであるが、乗り場が端から端に代わってしまった。それによる利点もあるが欠点もある。近所の店という点では、前の方がコンビニには近かったものの、そう大差はないしスーパーやクリーニング屋なら今の方が近い。何より、近所の青果店の安さは異常である。引っ越すまでは店の存在は知っているものの、その値段までは詳しく知らなかった。これは私に栄養をきちんと採れという天の声なのかもしれない。

それから、仕事が終わった後 大学に直行するようになったのは、あのクソ野郎がうるさいことで、なるべく家にいないことが習慣づけられたからかもしれない。おかげで、図書館で勉強する癖が付いた。もっとも、それは今年採った語学の授業が、予習を必要としているからかもしれない。あとは、バスルームに大きな鏡があることも、私としては嬉しい限りである。

逆に精神的な部分での利点を考えてみる。精神面は何がプラスに働き、何がマイナスに働くのかは分かりづらい。人生の幸運・不運は受け取り方次第、結果論でしかないからだ。ただ、敢えて書くのなら、私にペンを取らせるための憎しみである。創作には強い感情が伴わなければならない。何かを書こうという強い動機がなくては書けない私への……と、こんなことを書いたとて、私以外には何のことだかわからないだろう。私自身のこれまでを踏まえないと伝わらない内容なのだから。

くだらない妄想

今日も大学であの野郎の幻を追った。昨今の大学生は無個性なのか、ある程度似たタイプはみな同じに見える。そのせいか、あの野郎の面影はそこいら中で見かけることができる。よくよく見ればアイツではないのだが、あの野郎をハッキリと覚えていないこともあって、何処か雰囲気的に似ていると感じるところがあればそう思えてしまうのだ。

このくだらない妄想に、想像力が良くも悪くも豊かだった過去の自分を思い出す。作家の中には精神分裂症(今は統合失調症)だったと思われる人が何人かいる。それと同じと言うのではないが、妄想に取り憑かれる感覚があの豊かだった想像力に繋がるような気がしてならないのである。また、あの能力を手にできるかもしれないというワクワク感がそこにある。読む人には甚だ意味不明だろうが。

それはそうと、今日はサークルの名簿を配布する最終日だった。私がつくった表紙に関しては幾つかお褒めの言葉をいただいたが、自分としてはその出来具合にいろいろと不満がある。まぁ、そんなことはどうでもいい。問題は配布に関することだ。この日は、私が行けるかどうかわからなかったので、別の人が「土曜日なら行ける」ということもあって任せることにしたのだが、その人の時間割(名簿に記載)を見てみたら配布時間に授業が入っていた。

私という人間は基本的に人を信じていないので、「あの人、授業があることを忘れて引き受けたな」と思い、降り出した強い雨の中、急ぎ大学に向かうことにした。家を出るまで、その人が来なくても誰か来るかもしれない、もし誰もいなくても自分の責任ではないといった考えが頭の中をめぐった。しかし、最終的には名簿担当者として名前を出しているのは自分であり、何か不備があった際に評価が下がるのは自分だから、それだけは避けたいという思いから家を出たのだった。

大学に行ってみると、そこには配布を担当すると言った人がいた。どうも授業が休講になったらしかった。何ともまぁ、都合のいい休講である。土砂降りの雨に濡れたこともあって、思いのほか疲れた気持ちになった。自宅で休講情報を確認出来る環境にあったら(ネットが繋がっていない)、その人の電話番号を知っていたらこんなことにはと思うと同時に、人を信じられたのならと思わずにはいられなかった。

だが、もし私が人を信じられる人間だったとしたら、人に褒められるような名簿の表紙をつくれはしなかっただろう。これは前にいた会社で、グラフィック担当者が扱いづらい上にたいしたことがなかったので、仕方なく自分でやったことで身に付いたスキルである。まぁ、人を信じられないという不徳にも利点があるのかと思えなくもない。

 

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