言い訳に使うエネルギーを他に使え

記入日:2006/11/27

職場でPCの入力作業をしていると、今まであった嫌な出来事を反芻することがある。その嫌なことの筆頭が前の職場にいた博識気取りとのやりとりである。奴がソニー製品の故障の多さから企業の腐れ具合を指摘し、それを理由に日本経済全体の先行きが暗いとまで言って、友人と語り合ったという話をしたことがあった。そのとき、私は半ば冗談的に日本の娯楽作品(今、経済産業省が○○○は日本を代表する文化だとかいっているアレがメイン)があればOKみたいに言ったのを覚えている(この話題の前がそれだった)。

そうしたら奴は真顔で「(その分野は)生活する上ではなくてもいいものだから」と言い切った。そんなことを言ったら、世の中にはいらないもので溢れている。それを必要だと錯覚させるのが営業努力というものだ。それに、日本の経済が低迷して生活必需品以外の売れ行きが落ち込んだとしても、海外マーケットでその手のものが必要とされていれば別である(敗戦間もない頃でも、レコードは売れたが)。何も経済は国内だけで済ませられる話ではない。それに、一社がダメになっても同業他社がすぐに取って代わる社会だろうに。よく考えろ馬鹿が。私が次の言葉を考えているうちに奴は話を終わらせ、オレ様は偉いぜって顔をしているのだから始末に負えない。

そうやって一生自分がナンバーワンのまま朽ちていけばいいさ、就職するのが怖いから大学院に行くクソ野郎が。どうせ、そういう理由で就職しないことを正当化しないと、そのつまらない自尊心を守れないんだろうよ。惨めな暮らしをして、そのうち周りに誰もいなくなって、ようやくそこで自分が馬鹿だと知ればいい。

こういったスッキリしないもやもやが何度とか頭に浮かび、そのたびに妙な苛立ちが起こったりするのだが、それを適当に誤魔化している辺りが何とも……。考えなければいいのだが、何故か考えてしまうのが愚かしい。あの一件で奴に見下されているのではないか、そう思われていることが一番の屈辱だからなのかもしれない。もう二度と会わない奴のことなど、どうでもいいと言えばどうでもいいし、奴をよく知った者は誰も奴を相手にしていないというのに……。

なのに、不運にも奴と再会した場合のことを考えてしまう。なんと言って取り繕えば、あのときの自分の回答をカバー出来るだろう……みたいな、限りなく無意味な言い訳を幾つも頭の中に思い浮かべるのだ。私という人間はつくづく要らぬプライドがあるらしい。そんな思考に陥った時、不意にある漫画家がテレビで言った言葉を思い出す。

「言い訳に使うエネルギーを他に使え」

正直言って嫌いなタイプの漫画家だが、あの言葉には少し共感するところがある。というか、至極当たり前の話だからだ。言い訳は過ぎ去ったものにするものであり、したところでプラスに働くことはほとんどない。過去に向かう力を未来に向けた方がマシなのだ。まぁ、心の整理は重要だが、言い訳のための言い訳は無意味だ。だから、こうやって書くことによってスッキリさせて「はい、おしまい」にしよう。

それとは別に、生活には無用なものと先に書いたアレの話である。アレに限らず物語というのは生活には必要なのではないかと最近になって思い始めた。それは、プレイバックシアターという即興演劇に関する本を読んだことがきっかけだ。その辺について、私が何か書くより前書の一文を読んだ方がいいだろう。まぁ、そういうことだ。特に奴のような馬鹿には、他者の価値観というものをよく理解するべきだ。

授業中に読んでおいて

先週、演習で一緒に発表する人が決まった。今週、その人が授業前に幾つかの資料を持ってきてこう言った。

「(授業中に)読んでおいてください」

渡されたのは2冊の本と何十枚かのコピー。正直、授業中に読むのは不可能だし、こんなのを読んでいたのでは授業の内容を理解出来ない(適当に聞き流していることが多い授業ではあるが……)。とはいえ、この後の話し合いのために必要なのかと目を通してみた。

しかし、如何せん授業中ということもあって内容が頭に入ってこない。なので、適当に通読して授業を聴くことにした。だが、途中から聴いてもついていけるわけがない。ついでに、もはや やる気もなかった。授業中はただただ早く終わることを願い、その後に話し合うであろう発表パートナーとのやりとりを考えていた。

彼女(発表パートナー)は何を考えて授業前にこれを渡したのか? もしかして、成績は最高評価でないといけない人で、相手にも完璧さを要求してくるのだろうかと思った。この後、これを読んで理解したということを踏まえた上での話し合いがされるのかといったことを想像した。

様々な覚悟をして、あまり渡された資料は読めなかった旨を彼女に伝えたところ、「自分もよくは見ていない」との反応。だったら、何であんなことを言って渡したのか? そう思いたくもなる。そこへ彼女の次の一言。

「私がゼンパンを担当していいですか?」

ゼンパンと来たからにはもう全般しか思い浮かばない。私が信用出来ないから全てをやってやる、お前は読むだけでいいと出て来たのか? そう思っていたら違っていた。全般ではなく前半の半の発音が少し変だっただけのようだ。何て言うか、その、やや天然な人なのかも知れない……。まったく、私が葛藤した授業の時間を返して欲しい。

 

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